ベッドタウンにいながら田んぼの中の一軒家を建てるべく,土地探しを始めた僕は,「市街化調整区域」という言葉に出合いました。
そして,「市街化調整区域の中古物件をリノベーションする」という結論に至った僕は,そんなことを専門にしている工務店の情報を得て,連絡を取り,内覧会に行ってきました。
気になる物件を発見!
「○○市 土地」とか「○○市 中古物件」で検索し,土地が広い順で土地を探しました。それはもう趣味のように。毎日のように見ていると,ほとんどが一度見たものになり,売りに出ている物件の全体がつかめてきます。しかしながら,出てきません…。
しばらくすると「田舎暮らし」「古民家」などのキーワードを使うようになりました。こっちの方がピンとくる物件は多い。こうした物件は街の不動産屋さんは扱わないのでしょう。専門で扱っているところは限られてくることがわかってきました。
そしてついに発見しました!探し始めて2週間くらいでしょうか。
土地面積:317坪(一部地目山林、雑種地)
価格:1380万円
他間取り:7DK 増築部分あり
おぉ!山が近い!広くて安い!山林もある!
この市の平均坪単価がだいたい40万らしいので,約9分の1。
これを見たとたんに,運命だと感じました。いや…と冷静に考えなおしながらも,やはりいい!
2日くらい考えて,サイトを通じて問い合わせました。
問い合わせ先は「民家計画」
上に工務店と書きましたが,正確には,不動産と建築士とコーディネーターのコラボ集団。ホームページには「古民家・中古住宅を美しく再生するプロフェッショナルチーム」とうたっています。
問い合わせた次の日にメールが返ってきて,そこに資料として添付されていたのが上の画像。これに加えて,建っている家の中や状況の資料もありました。
別物件の内覧会の案内が届く
問い合わせの返信をもらってから2日後,「見に行きましょう」とか電話がかかってくるのかな?と思っていたら,別の物件の内覧会のお知らせがメールで届きました。
見ると
民家計画の平屋リノベーション物件のミニ内覧会のお知らせです。
今回は施主様の希望により広く一般に募集せず、これまで関わりのあった方のみ の内覧会になりますので、ご希望の方の予定に合わせてご案内いたします。
なるほど。引き渡し前の数日間に中を見せてくれるのでしょう。すごいタイミング。やはり運命か。すぐに返信して,行くことにしました。
当日,見ていただいたのはとてもすばらしいものでした。外見は「古民家」というほど古くない,今までよく見た中古物件という感じのもの。
しかしながら,中はとても新しく,きれい。中と外のギャップがすごい。
むきだしの梁があり,庭を眺めながら一息つく縁側があり,大きなLDKを見渡せるキッチンがあり…。こんなところに住みたいとテンションが上がりました。
いろいろなこだわりを聞きながら,やはり中古リノベーションしかないと思いを強くした僕は,気になっていた物件について聞いてみました。すると…
「今から行ってみますか?」
「行きます。」即答しました。
いよいよストライクど真ん中の物件と対面
内覧会は現地集合だったので,車2台で連れだって行くことになりました。
車で走っていると,よく走ったことある幹線道路から中に入りました。すると一気に景色が一変。おぉ!この街にこんな風景があるなんて。木のトンネルを走っている感覚です。後に調べた情報では,ホタルのスポットもあるらしい。
車の中でテンションが上がる僕と妻。「すごい。こんなところが」「イメージ通り!」「ここなら通勤も圏内」いいところをたくさん出し合います。
幹線道路から5分走ると,目的地に着きました。
すごく静かな集落。この地域に全部で10軒くらいでしょうか。どんな人が住んでるんだろう。仲良くなれるかなぁ。など考えながら歩きます。
「ここから敷地です」「確かこっちの山も入っています」
山に多くの果樹を植え,畑をつくり,DIYにいそしむ自分の姿が浮かびました。あそこであれしたい。これしたい。こんなときには瞬間にいろんなやってみたいことが浮かびます。
家の中を窓からのぞき込みながら,案内の方が「この柱は使えそうですね」「この太さのものは今ではなかなか手に入りません」「ここは腐っているので替えないとダメですね」と状態について教えてくれます。
ストライクど真ん中!と思いながらも,ここは実際に見た1つ目の土地。足で動けば実はけっこうあるんじゃないか?なんて気持ちも浮かんできます。案内の方が「電話で問い合わせましょうか」というので,問い合わせてもらうことに。
「はい。はい。あぁ。そうなんですね。わかりました。またはっきりしたら教えてください。」
初めて見に行った土地で,疑い深い僕は,この人はここで決めさせようと演技しているのではないかと疑います。
「もしかしたらタッチの差かもしれませんね。はっきりしたことは明日じゃないとわからないそうです」
おいおい,こんな田舎の土地は買い手がないから安いんでしょう。こんなタイミングよく買う話が出ているわけないでしょうが。と心の中でつぶやきつつ。
それでも土地を気に入った僕は,「買う気持ちは強いです。わかったら教えてください。」と答えました。
買う!と決めた後の心の揺れと,問い合わせの結果…
一気にテンションが上がった僕でしたが,妻は冷静でした。
「本当にここでいいのかなぁ」「子どもの通学は…」「習い事は」「買い物は」「年老いたら…」
確かに。これまでは自分の子どものときの生活をベースにイメージを描いていましたが,細かなところを考えると違ってくるところはたくさんあります。
この先一生住むところを決めると言ったら大げさかもしれませんが,2つ目の家を買うつもりはないわけですから,この先長く生活する場所をこんな1日の出合いで決めていいのか…。
何より,決めるつもりで来ていません。
田舎で暮らしたいと言いつつ,いざそれが現実味をおびてくると,たじろいでしまいます。これは…おもひでぽろぽろ!?
田舎に住みたいと言い続けてきたけど,自分の覚悟はその程度だったのか…。あぁ,どうしよう…。
しかしながら,こんな迷いムダな心配に終わることになりました。
次の日に来たメールには
先日は遠い所、ありがとうございます。
家造りのご参考になりましたでしょうか。
また、○○の古民家の件、再度売主に確認した所、
入れ違いで売れたとのことでした。
こちらの確認不足により、現地までご足労いただいたのに、誠に申し訳ございませんでした。
重ねてお詫び申し上げます。
orz…。
疑ってごめんなさい。タッチの差って本当だったんですね。
とても気に入った土地を買えなかったことに,落胆しつつ。でも少しホッとしつつ。「こんな簡単に出会えるなら,まだまだ出てくる」という感覚をもちました。
…この感覚が,この後2年間の土地探しに大きな影響を与えることも知らずに。
続く。